日別アーカイブ: 2016年8月6日

おじいさんの印象

私の祖父とは、あまり会話をした記憶がないのです。
私の幼い頃の記憶の断片に、祖父の膝に座って、祖父の食事を一緒に食べていた記憶があります。
その記憶の中の、ある日の記憶に、祖父が丼茶碗にお茶を注いで飲んでいるときに、その丼茶碗のお茶で手を洗っていた記憶があります。祖父は「め!」と言いながら、にこにことそのお茶を飲んでくれていたのを覚えています。
私は祖父が近所のお店に行く時は、よく付いて行って、干しぶどうを買ってもらっていました。甘い干しぶどうが大好きだった私の、幼少期の写真は、どの写真も虫歯で笑っています。

ある年は豪雪で、生まれてからそんなに年数を経ていない私にとっては大事件でした。飛行帽にジャンバー、パッチを履いて、その上にコール天のズボン、分厚い靴下に、長靴。おじいさんと二人同じような格好をして、近所の様子を確認しに歩いた記憶があります。

あるマークを見ると、なぜか祖父を連想する。そういうマークがあります。
そのマークは昔の「ハウスカレー」の箱にかいてあるカレーハウスのシルエットです。
※復刻版ハウスカレーの事をブログに書いておられる方がおられました。

このカレーハウスのシルエットを見て、何故おじいさんを思い出すのかが、しばらく解らなかったのですが、どうやら、おじいさんに江若鉄道の駅によく連れて言ってもらったからのようです。

※同志社大学鉄道同好会OB会(DRFCクローバー会)さんのホームページの「今でも気になる江若鉄道」のサイトに当時の様子が出ていました。

幼い頃の記憶 霧の早朝

まだ、実家は茅葺きで、朝霧に茅葺きの軒先に水滴が光るような朝だったと思います。

南に面した玄関から、父親の後を追いかけて道に出ました。道の向こう側には、道と並んで川が流れていて、右手に少し歩いて、その川に掛けられた細い橋を渡りました。

まっすぐに南を見ると、ずっと向こうまであるはずの水田は、真っ白な霧が立ち込めていて、本来鮮やかな緑色の稲穂が見えるはずですが、立ち込めた霧で、手前のほんの少しの稲穂が、やや群青っぽく、薄っすらと見えているだけで、その先は真っ白な霧に覆われていました。数百メートルも行けば薮や山がある狭い村なのですが、朝霧が作り出した真っ白な世界は、まるで大海原の上か、大平原の中に居る様な錯覚を感じさせてくれました。私が佇んでいた水田の畔から、右手方向には牛小屋と鶏の小屋が一つ屋根の下に収まった納屋があり、牛も鶏も、早朝のためか、おとなしくしていました。

雑草の柔らかいものを、手でむしって来ては、鳥小屋の金網に差し込んで鶏に与えるますと、鶏たちは、まだ食欲が湧かないのか、仕方なさそうにゆっくりと寄ってきて、私が与えた雑草を、首を傾げながら、ほんの少しづつ、ついばんで居ました。

普段なら、村の中の喧騒が聞こえてくる時間だったと思いますが、この日は、深い霧のためか、とても静かな朝でした。

こう言う朝霧の景色は、小学校を上がる頃には、もう見なくなっていたように思います。母の実家はさらに山間部でしたので、私が中学を上がる頃までは、朝霧の農村部の雰囲気を残していたと思います。しかし、あちこちに道路が出来て、山間部を切り開いて新興住宅地ができ、どんどん開けていくに連れ、こう言う景色に出会わなくなっていったように思います。社会人になってから、異業種の青年社会人交流で、女神湖付近のペンションに行って合宿した時、久しぶりに、その景色を見ることが出来てとても懐かしい感じがしました。

こう言う感覚を郷愁と言うのかもしれません。

郷愁を思い起こさせてくれるものに、ついて、私はある種の香りが脳裏に焼き付いています。松の匂いなのか、杉なのか、ケヤキなのか、未だに判らないのですが、幼少期には毎年、嗅ぐことが出来た香なのですが、中学生になった頃から後は、自宅付近では嗅ぐことがなくなりました。30歳台で大台ヶ原に入った時に、久しぶりに嗅ぐことが出来ました。いろいろな木に近づいて匂いを嗅いでみましたが、是だというものを見つけることが出来ませんでした。その後では、飛行機で移動をかけるときに、遥か上空に差し掛かったときにもその匂いを嗅ぐことが有りました。

私の脳裏に残っているその香りの正体については、もしかしたら、国内の森に起源を持つ香りではなくて、ひょっとすると偏西風で運ばれてくるような物なのだろうか?等と思うことも有ります。

世界の美術 古典 近代

日本百科大辞典(小学館)に別冊として「世界の美術 古典編」「世界の美術 近代編」があり、時間があれば、この2冊をじっくりと読むと、美術の入門によいと思います。できれば小学生の低学年ぐらいの時に見ておくと良いと思います。いろいろ刺激が子供には強すぎるかもしれないのですが、「美の巨人」達が、その感性で掴んだ何某かを、その筆に込めて書き記した本物の芸術に触れる糸口となるかもしれません。本人が興味を示さないと、見ても無意味かも知れませんが、ページをめくる労力だけで数々の芸術作品を目の当たりに出来ます。

人間は匂いと記憶が関連している事も有るらしいので、キチンと印刷をされてインクの香りや、ビニールカバーの香りが漂うのが良いのかもしれないと思っています。

実際問題として、匂いのないモニターで見るのが良いのか?どちらが良いのかは判りませんけど。匂いが過去の経験や記憶を起想させるトリガーになるのは間違いないと思います。

画面表示だけの、匂い情報が欠落した経験は記憶が薄くならないのでしょうか。

そう言えば、コンピュータは色温度の普遍的再現と言う課題に向かい、そこそこのレベルには到達出来ましたが、いまだ匂いの出る画面は出てきて居ません。匂いの普遍的再現と言う課題は、おそらく難題なのでしょう。

大阪から山間部を抜けて、熊野に至までの香りの変化を映像に合わせて再現するとかは、大変なのでしょう。

同じ映像でも、BGMを差し替えるだけで、その映像作品の印象をガラリと買えることが出来ますので、映像とBGMによる表現において、それは掛け算になるのでしょう。そこに香りと言う情報を追加すれば、さらにその掛け算で、印象や表現のバリエーションを増やすことが出来る。のでしょう多分。

普遍的再現が出来ない場合、各自が各様で、バラバラの印象を記憶する事になり、まずい事態を引き起こし兼ねない様に思えます。

「カレーライスって酸っぱい匂いだよね。」とか。

浴衣姿の映像に合う香りは、シャボンの香りか?、オーシャンブルーの香か?。

「国会答弁」にもしもBGMを付けるなら「運命」か「スーダラ節」か?。

とか。

実際、以前、かっこいい記録映像が有ったので、編集機材の取扱い練習がてらBGMに「コメディー」タッチバージョンと、「クール」タッチバージョンを作ってみたら。その表現の方向性のギャップに大笑いしました。

 

大台ケ原

随分以前に、大阪から、いづみ葛城山の峠を超え下っていたら、綺麗なピンクの可憐な花をつけた木があった。季節はいつ頃だっただろうか?。思い出せない。

「百日紅:さるすべり」かと思ったが、違っていた。先ほど調べたら「合歓の木(ねむのき)」だと判った。

和歌山側を、山を超えて下ると山間農村部にはいり、かつらぎ町から橋本を経て、奈良の五條市、そして吉野に入り、連続するカーブを抜けていると、ふと何かが、視界の左側をかすめた。「雷神」だった。 近所の自販機で缶コーヒーなどを買って、その彫刻を眺めながらしばし休憩し、更に進んで、大淀から、登って行くと、やがて左手に大滝ダムを見て、川上村に至る。

川上村の道の駅でトイレを借り、うどんを一杯食べ、更に登っていく。

途中で進路を、大台ケ原に続く峠道にたどって、登って行くと、やがてトンネルを抜けて伯母ケ峰峠に至る。 伯母峰峠の茶屋でトイレを借り、さらに進む。季節と時間が合えば大台ケ原ドライブウエイから雲海を見ることができる。そして、やがて大台ケ原の駐車場に到着する。

駐車場右手に、綺麗に整備された芝生があり、小さなU字溝が埋まった水路があり、その先にトイレがあるので、まずは、ここでトイレを借りる。山の水のせいか、蛇口から出る水がとても冷たくて気持ちが良い。そして、だいたい何時も、大きな蛾が天井か壁に一匹は張り付いている。このU字溝の水路は安全のために短い杭に紐をかけて柵としてあり、トイレ入り口付近からだけトイレに入れるようになっている。とてもよく整備されていて、明く景色の良い所だった。

ご来光を見るために来る人たちは、夜のうちに、この駐車場に到着して、車中泊するか、または、事前にロッジを予約しておいて、きちんと睡眠をとって、まだ夜が明けない暗いうちから登山を開始する(らしい)。ロッジは風呂があり、予約しておけば朝食もいただける(らしい)。

大台ケ原は、日本でも有数の豪雨地帯らしく、年間降雨量がかなりある(らしい)ので森林もよく育っていたようなのですが、近年、環境変化のためか、人が立ち入るためか樹木の立ち枯れ等で、真っ白になって倒れている樹木が結構あるとか。天気が良ければ、日の出岳から眼下に熊野灘が見えるそうです。

豪雨地帯故にがけ崩れや通行止めが頻発しているらしく、近年どうなっているのか知りませんが、秋の季節にとても気分が良くなる場所であり、機会があればまた訪れたい場所です。

Youtubeに多くの方々が大台ヶ原ドライブウェイの撮影を投稿されていますので、その映像で雰囲気を掴むことが出きると思います。

※映像は編集されてるのか、短時間で到着するものが多いですが、実際にはドライブウェイはコーナーの連続なので、結構時間がかかると思ったほうが良いと思います。

特に夜間通行される場合は、路上の鹿に注意、路上の狸に注意。悪天候や濃霧や落石に注意が必要と思います。