ログの追跡物語

若い頃に、アメリカのSF作家の「J.P.ホーガン」さんの著作を、好んで読みました。

「未来の2つの顔」や「造物主の掟」の関連作だったと思うのですが、コンピュータと通信に関する、描写が物語の骨格を形作っていたように思います。

「普段、気にしない部分」に焦点を当てて書かれているのですが、上手に書かれていて、読んでいて、物語にどんどん引きこまれて行きました。

物語を、主人公の視点で描くだけではなく、主人公を取り巻く電子デバイスの視点で描かれていたのです。

まねして、身近な事柄を題材に、ちょっと書いてみようと思います。

なお、この後の小説の真似では、電子デバイスの内部動作に関する記述をしていますが、具体的な知識は私にはありませんので、この後に、書いてあることは、嘘っぱちと思って予めご了承ください。なにせ、空想ですから。おもいっきり嘘っぱちを書きます。

—-<小説の真似ここから>——

母国を発って、遥かこの国の玄関口をくぐってから、既に3日が過ぎていた。

彼は、渡航に際して、最新のi-phoneを買っており、今回は主にi-phoneを使っていた。そのため、慣れたアプリが入っている、古いandroid端末を持ち込んでいたが、この端末は、出番もないまま、カバンの奥でひっそりとしていた。

古いandroid端末はSIMを抜いた状態であり、出立前にGPS機能をOFFにしてから、電源OFFにされていたので、内部で保持する現在位置に関するデータは、彼が出立した空港付近で更新されたデータのままだった。

彼はこの国の空港に到着した時、この国の通信キャリアのポケットWIFIをレンタルで借りていて、持ち込んでいるi-phoneさえそのポケットWIFIのWIFI子機として使っていた。※このポケットWIFIのSSIDは[CTM32332511]であった。

その朝、彼は、パンパンと言う音で目覚めた。知らない人なら、発砲事件でも起きているのか?と勘違いするかもしれないが、近所の公園で「鞭の芸の練習」をする趣味の人たちが、早朝練習をしている音であることは、昨日の現地見学で、彼は知っており、特段驚くこともなかった。

歯磨きをはじめる前に、かれはポケットWIFIを充電するため、USB充電器につないだ。

レンタルで借りたポケットWIFIは充電と同時に起動するタイプであり、ポケットWIFIは、USB充電器に接続されると同時に、起動シーケンスに入った。ポケットWIFIは自分自身のシステムリセットを実行し、各種デバイスへの電源供給を、決められた順序で行い、デバイスのリセットを行ない、続いて、各種デバイスの初期設定を済ませた。続いて、電波のスキャンを行い、自分のSIMスロットのデータを元に、電波スキャンを行い、リンクアップできる電波があるか調べ、強い電波出力でSIMに対応する通信キャリアの電波があることを確認した。つづいてポケットWIFIは起動したことを通信キャリアに通達するため、SIMに収められた一連のデータを元に起動に関するビーコンを放った。ポケットWIFIにより放たれた起動ビーコンは、問題なく通信キャリアの基地局で捉えられ、適切に処理され、ポケットWIFIが、そのエリアに存在することがキャリア側のデータベースに記録された。

続いてポケットWIFIは周囲のWIFI電波状況をスキャンし、チャネルの1番から7番が既に使用中であることを確認し、チャネル11番が開いていることを見つけ、自身のWIFIをチャネル11と決めた。

彼のi-phoneは、電源OFFされずに、昨夜カバンに片付けられたままじっとしていたが、定期的なWIFIスキャンを行う中で、自身が保持するリンク履歴のあるプロファイルリストに合致する電波が、つい今しがたまで存在していなかっため、リンクでずにいた。

彼のi-phoneは今回やっと、チャネル11に存在するWIFI電波がリンク履歴のあるプロファイルであることを確認することができ、ポケットWIFIとのリンクを再確立した。

これに引き続いてi-phone内部にインストールされているメーラアプリは、到着メールが無いか、設定されているメールアカウントに対応するサーバーへに対して、問い合わせを開始した。

その中に、GMAILのメーラーアプリもあったが、GMAILのアプリが放ったGMAILサーバー宛の通信は、キャリアから、この国のインターネットのNWに渡された後、ファイアウォール機能により不適切と判断され、そのパケットは破棄された。GMAILアプリはメールサーバへの問い合わせに対する回答を得ることができず、今回のメール問い合わの動作がエラーで終わったことをログに記録して、今回の動作を終了した。

彼は、今日の移動に際して、ホテルで、このandroid端末の電源をONにして、ショルダーカバンに収めた。SIMが入っていれば、時折キャリア電波をスキャンして、検出したキャリアの電波のリストを更新するのであろうが、SIMが無いため、キャリア電波のスキャンすらしていなかった。WIFIについてはiphoneと同様の動作を行いポケットWIFIへのリンク確立をした。

彼は、歯磨きを終え、古いandoroid端末をカバンから取り出し、地図アプリを起動させた。

地図アプリは、現在位置の確認シーケンスに入り。端末のGPS機能がOFFであることを確認し、「GPS機能をONにしてください。ONにするにはここをクリック」と言うガイダンス表示を行い、待機した。

彼は、地図アプリ起動直後にガイダンス表示が出たのをみて、GPS機能をOFFにしてあったことに思い至った。そして、ガイダンスに従い、GPS機能をONにして設定画面を終了させ、地図アプリに戻った。

地図アプリは、たった今GPS機能がONに変更されたことを確認し、現在位置の特定シーケンスに入ったが、この端末は30MIPS程度の処理性能であり、現在位置の特定には数分必要とすると判断し、音声ガイダンスにより「現在位置の計算中です。正確な現在位置の算出に数分かかります。少々お待ちください。」と言うガイダンスをするシーケンスに入った。該当の音声ファイルのファイル名が[audiogdc001]であることを確認し、オーディオ再生機能に、[audiogdc001]を再生するように指示を出した。

指示を出した直後にすでに現在位置計算を始めており、まもなく現在位置の算出は完了した。

地図アプリは、算出できた現在位置情報を元に、サーバーに対して、地図データを送るように依頼を投げ、程なくサーバーから送り返されたデータを受信して、画面に表示し、「算出が完了しました。現在位置付近の地図表示が可能です。」と音声ガイダンスを行った。

この地図アプリは電子地図データをgoogleから貰っておらず、この地図アプリ専用に電子地図データのサーバーが独自に設置されており、そこからデータを得ている。

この地図アプリ専用のサーバー側では、今回の地図データの受信に関して、該当するアプリ登録IDから、地球上のどこのデータの依頼があったかをサーバーのログに記録して、一連の処理を終了した。

某月某日、公園でアイスクリーム露天商をしている老婆のアンドロイド端末は、いつもの通り、過去のログデータを記録してるファイルのローテーションを行った。最も古いフログファイル1つが自動的に削除された。この時消されたログファイルに、1行だけSSID[CTM32332511]の検出を記録した行があった。

某月某日、タクシー運転手のアンドロイド端末がログのローテーションを行い、最も古いログファイル一つが削除された。この時消されたログファイルに、1行だけSSID[CTM32332511]の検出を記録した行があった。

某月某日、食堂アルバイトの少年のアンドロイド端末で動いていたゲームがクラッシュした。ゲームはクラッシュした原因調査に協力してもらえるか?と言うガイダンスをだし、少年はOKをした。この時少年の端末のシステムログのいくつかがゲームソフト開発元に送信された。この時送信されたログに一行だけ...。

—-<小説の真似ここまで>——

他愛もない、嘘っぱちの空想劇にお付き合いをいただきましてありがとうございました。

事実を知りたい方は、RFCを読むなり、世界標準化機構の大量の文書を取り寄せるとか、コンピュータサイエンス全般をじっくり習得するとかされると、よろしいのではないかと思います。

※などと書いている私自身は、コンピュータサイエンスを習得していませんし。

でも、システムをデザインする方々って、大変だろうなーと思います。ほんとうに、ご苦労様です。

<翌日>

一日置いて、読み返していて、汗が出て来ました。

アンドロイド端末は、ポケットWIFIをレンタルで受け取る前に電源OFFされとた書いたので、自動的にポケットWIFIとのリンクの再確立をするのは無理でした。書き直さないといけません。

それと、公園のアイスクリーム店の老婆という設定も、特段老婆にこだわる必要は無く、通りすがりの高校生や、カップルでも良かったかなと思っています。

誤記訂正しました。 誤[FRC] 正[RFC]

 

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