ポンコツスクーター

正午前の強い日差しを受けて
枯れたすすきは、一層輝いていた
下のコンクリートには
濡れているのか灰色の染み
中央から右手方向の
コンクリートは
下半分が錆び色の鋼矢板

おそらく、この場所で間違いないはずなのだが。

残されていた手掛かりは

「逆光に包まれて輪郭もおぼろげになっているのは
 管理棟横に引き上げられた何艘かのボートだろうか。

 視線をあげると

 蜃気楼のように揺らめく対岸との間に
 一筋の線が伸びてゆく」

と言う記憶だけ。

そんな風景…、

どこを見たというのだろう。

ヘルメットをかぶりなおして
ポンコツスクーターの向きを変える。

キーをONの位置にすると、
ディスプレイにはバッテリー残量90%の表示。

シャーと云うモーター音は、気になるレベルになっており。

フロントやリアのサスペンションが出す軋み音もむなしく
段差毎にバッテリの辺りからビビリ音がする。

重量級のバッテリーを固定する鋼鉄の帯が緩んできたのだろか。

ポンコツスクーター。

まだまだ、自転車を漕ぐのに比べれば、申し分は無い。

時折ガタゴト言いながら、シャーと走っている。

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