天頂と言う概念と、「ジオイド」

天頂と言う概念を知らない人は、少ないとは思うのですが。

平たく言うと、真上の事です。

ここで、私も含め、みんなが、一般的に勘違いをしやすいのは、地球というものについての認識です。
地球って完全球体だと、思っている人も多いと思いますが、完全な球体ではありません。
「世界中のいろいろな場所において、真上が異なるんだよ」と言う文章については、「あたりまえ」ですよね。

じゃ、なぜ当たり前なのか?。ですが、

(1)そもそも球体の表面で、場所が異なれば、真上が違うのは当たり前。
(2)地球は楕円の要素を含んでいるので、完全球体のモデルを基に考える真上との、ずれがある。

上記2つについては、だれもが理解しているのですが、さらにまだ、重要なポイントで、誤解してしまいがちな要素があるようなのです。

それは、「我々に働く重力は地球の重心方向に引っ張っている」と思っているけど、それは本当なのか?嘘なのか?と言う点です。

重力とか引力は「質量」により生じると言われています。

地球内部が均質であるとか、均質なコア、均質なマントル、均質な地殻だと、簡単なんですけど。どうも、リアルな地球は軽い物質や、重い物質が、不均質に偏在しているらしいのです。

つまり、重い物質が地中にあると、方向に引っ張られる分、本来の重力方向とは異なる方向を真下だと思い込んでしまう。と言うか、そちらが現実には真下になるので、その逆の真上も変わる。

と言う事なのです。

で、それが、どういうことに影響するかでいえば、海抜と言う概念にも影響を及ぼします。

私たちは、一般的に「水平」を作るのに、水の表面を見ます。器に「水」をいれた場合、「水の表面は、均一に広がる」ため、同じ高さを表すと、考えています。

でも、実際には、山はとても大きな質量を持っていますので若干山方向に引っ張られているのです。

膨大な地球全部に比べて、岬の峠ぐらいの質量は比較にならないほどの規模なので、岬の峠により傾く量はとても観測不可能名ぐらいに微量ですが。

地球内部には、もっと重たいものが埋まっているため、場所によっては、その地球内部の質量の固まりに、観測出来る位に引っ張られるのです。

キーワードは「ジオイド」です。

地球楕円体GRS80と本来の地球の姿との差を「ジオイド高」と言うのだそうです。最大で約85mの突出と約105mの凹みがあるそうです。

海の海面は真っ平らじゃない。(波があるし、うねりがあるし、そもそも球面で、平面じゃない)

理想球面とか理想楕円からしても、まだ反っている、海抜0メートルが上がったり下がったりしている。

つまり、GPSの原理からすると、複数の電波源であるGPS衛星からの距離を割り出して現在位置を算出する。と言う事で、完全球体とか、理想楕円体とかに、それを投影して北緯東経は出せるとは、思うのですが、高度や海抜は衛星の位置から算出するのが、困難だと判ると思います。と、書きましたが、判りにくいです。

海抜0mが、理想的な球体か回転楕円体に成らないので、海抜ゼロメートルからの差分を算出するには、前もって、その場所の、海抜を知っていないと、上空何メートルでGPS信号を受信しているかを算出出来判ないはずだからです。

実測された地球の表面モデルがあれば、そこに、北緯東経情報で、場所を特定し、高さについては実測データを基に海抜ゼロメートルからの差分で、観測者の現在位置の標高というか、高度というか、海抜を算出するのは出来そうに思えます。

海抜0mが奇麗な線になっていないという事実を案外知らない場合があると思います。

日本の地図については、国土地理院のページで様々な情報に触れることができますが、見に行く人は多数じゃないかも。

そして地図については、昨今、様々な電子地図が作成されていますが、その電子地図がどの測地系でかかれた地図データなのかが大切です。

古いGPSだと、昔の測地系データ対応なので、「おや?」と思う事があったら一度確認すると問題解決するかも知れません。

また、地球は生きていますし、プレートテクトニクスで陸地も海底も毎年少しずつ動いていますし、地震等では、大きく、ズレたりしますし、それでも、ナビや、パソコンで見るMAPがそれほどズレないのは、差分補正の計算なされているからだと思います。

と言う事で、知っているつもりで、知らなかったことについて書きました。

つまり、人工衛星の軌道要素を手に入れて、天体望遠鏡で待つ場合に、

自分の居る場所(北緯、東経)から天頂通過が何時何分になるとか、どの方角になると言うのを、計算して待って居ても、当てが外れます。

つまり、糸に重りをつけて、真下や真上を求めても、それがジオイドによりズレていたら、赤道儀を水平に設置したつもりでも出来ていないので、その後コンパスで北を合わせて、人工衛星の軌道要素を基に、ある時点における、目当ての人工衛星の方角がどちらか?と言うのを考えたって、うまくいかないのです。

赤道儀設置時点の真下真上が当てにならない。

高倍率の接眼レンズをつけて、狭い視野角で、人工衛星を待っていても、当てが外れる。

倍率を下げて、広い視野で、衛星を待つと、アップの撮影が難しい。

衛星を見つけて、追尾しながら、接眼レンズを交換するにも、充分な時間をとれないのと、交換作業で生じるズレで人工衛星を見失う。

そこそこの精度で、赤道儀を設置したら、後は鏡筒(天体望遠鏡本体)で実際の惑星や恒星を拾って、その時の鏡筒(天体望遠鏡本体)の向いている方角を精密計測したデータから、鏡筒や赤道儀の状態を知り、衛星を探索する事になるのですが、人が手計算でやるには、荷が重い。

天体望遠鏡制御用の専用コンピュータ無しには、人工衛星の写真を高倍率撮影するのが難しそうです。

それと、恒星、惑星等で3点アライメントを取れるのは、日没後なので、夕暮れに人工衛星を撮影するのは難しいと思います。

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